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プリンセス症候群(シンドローム)・前編 [山口美由紀]

 今日は高校生会というのに、私はこうして家でお勉強です。
 本当は教会に行って、やらなきゃいけないことがたくさんあるのですが・・・。
 試験中なのでそれもままなりません。
 まったくもって、この世に試験なんて代物を考えつきやがったのはドコのドイツでしょうか。
 探し出してミンチにしてやりたい気分です。
 きっと多くの人が賛成してくれると思うのですが、いかがでしょうか。

 さて、今日は早速昨日掘り出した山口先生の作品を紹介させていただきます


 山口ファンタジーの原典とも言える、『プリンセス症候群』です。
 私が生まれる前のお話なんですよねえ・・・。感慨深いものがあります。
 すごい古い作品ではあるんですけど、未だ人気は衰えず、キャラクター達も個性派ぞろい。
 収録作品は、「夢降る森のおとぎ話」「プリンセス症候群」「LieLie☆リトルアイランド」
 「月光夜曲」「巷に花の降るごとく」です。前二つはつながっています。
 すいません、いかんせん量が多いので、前後編に分けてお届けします。

 「夢降る森のおとぎ話」のおおまかなあらすじはこんなもんです。
 売れない作家のライナスは、またもや持ち込んだ作品を出版社に断られてしまいます。
 お隣の歌手、ルーシーにまでバカにされコケにされ、
 もう自殺でもしてやろうかとナイフを手にとったとき、不思議な声が。
 なんと三頭身の小人達が大阪弁で自分を呼ぶではありませんか。
 人助けだと言う小人達に連れられて二階の窓から飛び降りるとそこは・・・。
 おとぎ話の世界でした。
 七人の小人さん達曰く、白雪姫がヒステリーを起こし、手に負えないとのこと。
 ライナスは暴れる白雪姫に水をぶっかけ、なんとかその場をおさめます。
 刺客に狙われてノイローゼの姫さんを励ますライナス。
 そして事態は遂に継母が出動して・・・。

 といった感じですな。
 最後結局ネタバレしてしまうと、継母さんの毒リンゴを自主的に食べた姫さん、倒れちゃって、
 ライナスはそこで自宅のベッドで我に帰るわけです。
 こういうのって主人公がヒロインと恋をしてハッピーエンドってのが通常の形だと思うのですが、
 「夢降る」ではお姫様は童話のとおりに、王子様と幸せになるという。
 まあライナスくんもルーシーとめでたしめでたしではあるんですけどね。
 「俺が死んでも誰も悲しまない」と自暴自棄な考えを見せるライナスに対して、
 「そんなコト考えてはいけない、うとまれるのは私だけでいい」と涙をみせる白雪姫。
 自分のために泣いてくれる人がいる、というコトに希望を見いだすライナスくんが切ない!

 ライナスくんも白雪姫も似てるんですね。あきらめが早いというかなんというか。
 最後に毒リンゴを自らかじった白雪姫はなにを考えていたのでしょうかね。
 誰かのために自分を犠牲にする、っていうのもとらえ方の一つでしょうが、
 悲しくて悲しくて、そんでもって寂しくてしょうがなくて、死ぬ道を選んでしまったのでしょうか。
 そういう考え方をしてしまいますね。
 誰もが自分のことをうとんでいるという考えにとりつかれてしまったのでしょう。
 でも決してそんなことはなくて、必ず誰かがその人のコトを考えているんですよ。
 心配しているんですよ、気遣ってくれているんですよ。
 そんな簡単なコトに気づけば、人生へのとらえ方ももっと変わってくるのではないでしょうか。
 最後に自分のコトを一番思ってくれている人に出会うコトが出来た二人、
 良かったですね。
 私も早くそういう人に出会いたいもんです。(泣

 二つ目の「プリンセス症候群」は前作の続き。
 ルーシーとの二人暮らしを始めたライナスくんのところへ、またしても小人達が現れます。
 曰く、『アルフレッドの様子がおかしい』
 アルフレッド?という疑問を抱いたまま、今度はルーシーも一緒に三階からダイブします。
 まあアルフレッドは小人さんの一人だったわけですが、
 どうやら此奴、姫さんに横恋慕しとった様子。
 姫さんが嫁にいってから一日中ぼんやりしておりました。
 さてどうしようと考えこんだ矢先、小人達のお家になんと王子様が飛びこんできました。
 しかも若姫さんのおまけつき。なんと、白雪姫が城出(いえで)したとのこと。
 思わしくない国政と姑のいびりに若姫の夜泣きも加わって、発作的に飛び出してしまったのです。
 「どうして姫さんを幸せにできんかったんや!」と王子様につめよるアルフレッド。
 とにかく探しに行かねば、ということで小人さん達は帽子を脱ぎます。
 この帽子、魔法のお帽子で、かぶるとあら不思議、三頭身の小人さんに。
 脱ぐとこれまた不思議、七頭身の美形さんに早変わりです。
 経費節約なんですね、普段の三頭身は。
 アルは憤りを胸に、手分けして白雪姫を捜します、というわけです。

 小人さん達のリーダー、ベンジャミンのアルフレッドに向けた台詞が印象的です。
 『・・・ええか、わてらは森の小人。いわば脇役、役目は姫が結婚したときにおわっとる。
  これから先、姫さんを幸せにするのは王子はんや。そこらへん、わきまえとれよ、アルフレッド』

 小人さん達の一人が白雪姫に横恋慕している、
 ○ィズニーの不細工な小人さん達では想像もつかないことですね。(笑
 脇役(バイプレーヤー)の悲しいところです、主役とは決して結ばれない。
 なにせ脇役とずーと一緒だと、主役の出番がなくなりますからね。
 でもアルの気持も分かるんです。
 私も自分のことは間違いなく脇役だと信じ込んでますから。
 さださんの歌に「主人公」というのがあります、
 確かに、それぞれの人生の中では、自分が主人公かもしれません。
 でもやっぱり現実世界の「主人公」は居るんです。
 クラスのヒーロー、学力トップのイケメンくん、可愛いヒロイン、人気者は主人公です。
 私はデブで、運痴で、頭も悪くて、女の子にもモテない。(泣)
 しょうがないことです、私は脇役です。
 でもそれであきらめていいんでしょうか?あきらめきれないからこそ、アルの苦悩はあったのです。
 アルは自分が脇役だと分かっていました。
 最後に助けられたアルの腕から、王子様の元へ飛びこんだ白雪姫を見て、
 アルはなにを思ったのでしょうか。
 自分は脇役だと思い知らされて、どう思ったのでしょうか。
 脇役が主人公になれるか、いや、主人公でなくてもいいのではないでしょうか。
 自分が輝くとき、それは主人公になったときだけではないと思うのです。
 自分なりに、自分だけの、幸せをいつか、見つけられたら良いのですがね・・・。

 余談ではありますが、『美由紀・界』のナンバーのひとつ、
 「クローバー・イノセンス~ディアライナス」、なかなか良い出来です。
 作品の良さがとてもよく出ていると思います。
 機会があったらぜひ、聞いてみることをおすすめします。

 


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