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プリンセス症候群(シンドローム)・後編 [山口美由紀]

 今日は試験休みです。朝から母上殿は掃除に奔走しております。
 母上が家事をしているのを見るのは実に一週間ぶりです。
 その間の家事は私が受け持っておりました故。
 暇だったのでついついスコーンなど作ってしまいました。
 三十分でできた。(笑)イギリスのお菓子って簡単で素敵ですね。
 おいおいレシピも紹介していきたいと思います。


  

プリンセス症候群(シンドローム)
  • 作者: 山口 美由紀
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2000
  • メディア: 新書
 
 それでは昨日に続き、「プリンセス症候群」の紹介をさせていただきたいと思います。  今回ご紹介するのは「LieLie☆リトルアイランド」「月光夜曲」の二つです。
 「LieLie☆リトルアイランド」は「夢降る~」の続編といったところでしょうか、  リーという少年(小学生?)は母親の暴力に耐えかねて、窓から脱走を図ります。  しかし足場の枝がぽっきりおれて落下してしまい、気が付いたら・・・。  さっきまでいた庭とは全然違うはらっぱで、女の子に見つめられておりましたとさ。  女の子の名はリトル、白雪姫の娘でした。  大人になって、お母様の様になるのはイヤだというわけで、  魔女に大人にならない魔法をかけてもらいに行く途中とのことです。  そこでリーも乱暴なかーちゃんの様にはなりたくないと、同行することに。  途中で会う小人達からアルフレッドも合流し、  白雪姫の國を狙う悪党どもとの激突など事態は深刻を極め・・・。  といったお話ですね。まあお分かりのコトとは思いますが。リーはライナス達の息子です。  『大人になりたくない』というのは、健全な青少年なら一度は夢見たことがあるはずです。  少なくとも私は現在進行形で夢見ています。(笑  『大人になる』ということは、いろいろなしがらみに束縛されることです。  思うとおりに遊べない。責任をとることが多い。仕事もしなきゃならない。  たくさんの義務、責任。それらは大人が負わねばならないお荷物ではあります。  逆説的に、『はやく大人になりたい』と考える思春期の少年達も多いのではないでしょうか。  酒を飲みたい、タバコも吸いたい、いっぱいいっぱいバイトしてお金を貯めて、  夜更かしもできます。朝帰りだってできます。  『子供』というのもまた、様々な束縛のなかで暮らさなければならない人種ですから。  どっちの方が良いんでしょうかね、それは多分、『子供』でもなく『大人』でもなく。  『老人』になったときに初めて、自分の中で結論づけられるものかもしれません。  とりあえず私は、今を満喫してるので、試験さえなければ。(泣  「月光夜曲」はとても哀しい、寂しい、そして優しいお話です。  孤児院のホームで暮らす少年のポールは、たびたび病院のおじいさんに会いに行きます。  ある日、おじいさんはポールに昔話をします。自分が昔恋した、メアリという女性について。  同じ村のメアリに求婚し、町にでて一旗あげようとしたこと。  戻ってきたら、メアリは自分を待たずにどこかへ行ってしまったこと・・・。  里親が決まり、町を出ることになったポールはある晩、じいさんの元を訪れます。  そして自分のお気に入りだった絵本を読み聞かせます。  貧しい子供がある満月の晩、魔法使いに出会い、魔力を分けて貰う。  月が出ている間、四つだけ願いことがかなうだけの魔力を。  今日は満月、試しに何か願い事をしてみろというポールに、おじいさんはお願いをします。  『体の節々がきしまん体になりたい・・・』  するとあら不思議、なんとおじいさんは五十年も若返って、青年の姿になりました!  そこでおじいさんは魔力の効いている一晩の間に、メアリを捜しに行く決意をしました。  町にでると身投げをするような(雰囲気出して立ってただけですが)女性を助けます。  その女性はメアリにそっくりで・・・。  先にも言いましたが、とっても優しくて、哀しい作品です。  結局メアリは死んじゃってるんですね。出会った女性、ドナはメアリの孫。  メアリの墓の前で涙を流すおじいさんを遊園地に連れ出し、豪遊します。  『・・・ポール、二つ目の願い事じゃ。わしらのために両手一杯の花束を・・・』  『すごい☆何いまのぜんぜんわかんなかった!どんな手品?』  『タネも仕掛けもないよ。わしら今夜一晩だけの魔法使いだ。月が力を貸してくれる。どんな望みだてかなえてあげるよ。』  『いつかまた会えたらいいわね。でも約束はしないわ。ある日偶然会えた方がすてきだもの。   会えるといいわね。・・・いつか・・・どこかで』  台詞のひとつひとつに重みがあります。ひとつひとつで泣けます。  こういう作品を書ける山口先生はすごいですね。思わず涙がこぼれてしまいました。   この三人はみんなひとりぼっちで、次の日にはこの町からいなくなる運命にあります。  里親の決まったポールは親に連れられて、恋人に捨てられたドナは都会へ、  そしておじいさんはこう言い残して静かに息をひきとります。  『ポール、最後の願い事じゃ・・・。みんなが幸せになるように・・・四つ目の願い事を』  クライマックスのこの台詞でもう涙腺がゆるみまくりましたね。  本当に感動しました。私、一人っきりだとよく泣くんですよ。(笑  実はこんな前置きしておきながら、この作品で山口先生が伝えたかったことは分かりません。  いや、むしろただ単純に、哀しくて、寂しくて、優しい作品だということなのかもしれません。  別にメッセージ云々なくても、こんな作品を作れる、すばらしいことです。  「音匣ガーデン」に通じる優しさに溢れています。  読めば心が穏やかになること間違いなしです。ぜひ、おすすめします。  再三、言いますが、やっぱり春キャン無理そう。今のウチに謝っときます。ごめん・・・(泣
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