辺境警備 / 紫堂恭子 [漫画紹介]
この前ブックオフで、文庫版を見つけてしまった『辺境警備』、
紫堂恭子さんの一番最初の作品だったと思います。
紫堂さんの作品はファンタジー中心で、どれもほぼ同じ世界が舞台です。
感動、ほのぼのというのもそうですが、どこかほの哀しいフレーズが多くて、
なんていうんでしょうかね、胸にしみいるんですよ。
特にこの『辺境警備』のラストでは思わず泣いてしまいました。
というわけで、さくさくご紹介するといたしましょうか。
『少年向けコミック』と表記されていますが、もちろん少女漫画に属します。
まあ当研究室の研究テーマが、『男子にも読める少女漫画』なので(笑)。
ではあらすじなど、いってみましょうか?
今回のあらすじ紹介は、兵舎の兵隊さんたちにお願いしたいと思います(痛っ)。
それではどうぞ。
西カールの国境地帯のおらたちの兵舎に新しい隊長さんがやってきました。
名前はサウル・カダフ。どうやら都で何かして左遷されてきたみたいです。
お酒と女の人が大好きで、しょーもない髭をはやしたおじさんです。
挨拶にきてくれた神官さん(追記:ジュニアス・ローサイっつーんだべ)もあきれてます。
ここ西カールは昔はいろいろ戦争とか大変だったらしいんだけど、
今は国境より北には誰もいない辺境です。
おらたちも一日中牛を追い回したり、のんびりピクニックしたりで楽しくやってます。
昔はそうでもなかったけど、そういえば隊長さんがきてから面白いこと続きです。
お堅い人みてえだった神官さんも柔らかくなったみてえだし、
不思議なアモン(悪霊)にも会えたりして、いっつも楽しいことばかりです。
今日ものんびり辺境警備、隊長~、神官さーん、ピクニックにでも行くべ~!
ああ、我ながら痛い・・・(汗)。
久しぶりにやってしまいました。『打倒ナイスガイ!』以来です。
あ、兵隊さんたち、ありがとうございました。(いえ~こちらこそ~)
まあとにかく立ち直って、ご紹介するといたしましょう。
まずは兵隊さんたちのあらすじに補足させていただきます。
西カールはすっごい辺境の地です。なにしろ一番近い街、レナンディまで馬で一週間。
隊長さんたちのいる兵営は更にそこから4リーグ(約19.3キロ)あります。
辺境地帯の一番大きな町ドレングと兵営と、山奥の神殿が主なお話の舞台です。
髭の隊長さんと、きれいな髪をした神官さんと、のんびり兵隊さん達が登場人物です。
兵営といっても国境より北には人がいないし、戦闘はいっさいありません。
ドレングの町も静かで、花の都、エンディミラ・オルムと違い大きな事件などはありません。
しかしなにしろ辺境なので、人の知らない悪霊(アモン)などが出没することがあります。
だから別段国とか世界とか関わった大事件ではなく、身近な事件についてのお話です。
紫堂さんのファンタジーシリーズは大体同じ世界を舞台としていますが、
その元というか、大元がこの『辺境警備』の世界ですね。
たまに昔の神話のような伝説や、冥王の存在などがにおいますが、
それらは決して直接は現れることはなく、むしろ次のシリーズへの伏線のようになっています。
いや、怪物におそわれたり、大昔の賢者が登場したりはしますけどね(笑)。
神官さんも隊長さんも、昔都でつらいことを経験しています。
隊長さんなんかはへらへらはぐらかしてしまいますが、神官さんは割と深刻。
辺境の澄んだ月や星は、人の心の真実を写す鏡です。
彼らは辺境で、自分の過去の罪や行いと対面して、都で決着をつけます。
つまり、これは彼らが辺境で過去を克服し、帰る場所を見つける物語です。
ほのぼの、ではないと思うんですよ。
どちらかというと、先ほど申し上げたとおり『ほの哀しい』お話。
決して悲しい物語ではない、けれどなぜかしらないけど涙が流れる、
なぜか穏やかな気持ちになります。
楽しいお話を読むよりも、どこか哀しいお話を読んだ方が、人は優しくなれるのでしょうか。
ほのぼの漫画も好きですが、別段悲しくないのに哀しくなるお話の方が心にしみる、
って、当然ですが(笑)。いや、そういうコトが言いたかったわけじゃない。
紫堂さんは、人に感じさせるお話を書ける人ですよね。
心がすさんだとき、とてつもなく哀しい、寂しいとき、おすすめの作品です。
『辺境警備』。古い本ですが、文庫版もありますので。
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