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ARIEL [小説紹介]

 すでに皆様お気づきでしょうが、私が読む小説のジャンルは二つに絞られています。
 ずばり、「ファンタジー」と「SF」です。
 そうです、「ファンタジー」を愛読するが故、少女小説の比率が増えていくのです(笑)。
 実際問題として、少年小説(?)でファンタジーを扱っているモノは少ないのが現状。
 私が少女小説を読むようになったのは必然というわけですね。
 今まで当研究室では皆様に、多数のファンタジー小説をご紹介してきました。
 そろそろネタの底が見えたので(笑)、今日は「SF」作品をご紹介したいと思います。
 今日ご紹介するのはコレ!日本SF界の大家、笹本祐一さんの代表作「ARIEL」です。
 

ARIEL

ARIEL

  • 作者: 笹本 祐一
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 1987/11
  • メディア: カセット


ARIEL番外編(1) 侵略会社の新戦艦

ARIEL番外編(1) 侵略会社の新戦艦

  • 作者: 笹本 祐一
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 2005/02/28
  • メディア: 文庫



 
 例のごとく古い作品なので画像が存在しませんでした。
 そこで画像がある新しい本もついでに掲載しておきました、参考にしてください。
 
 
 
 銀河帝国は銀河統一の野望を果たすべく、辺境地域の侵略を進めていた。
 もっともその侵略は、専門の侵略会社に報奨金を支払って任されている。
 銀河の中心から三万光年離れたココ、地球にも侵略の魔の手は迫っていた。
 ある日、地球の全報道機関が乗っ取られ、ある一つの放送を流した。
 侵略会社ゲドー社A級戦略戦艦オルクス艦長アバルト・ハウザーによる宣戦布告である。
 突如軌道上に現れた全長数キロにも及ぶ謎の機動母艦は小型機を日本に向けて射出、
 自衛隊の戦闘機を蹴散らし、戦車を踏みつぶし、破壊の限りをつくした。
 しかし地球の戦力では太刀打ちできないであろう、その怪獣の迎撃に試みた組織があった。
 国立科学技術研究所、略してSCEBEIである。
 SCEBEIの誇る機動兵器、ARIELは開発者の岸田博士の親族三人をのせて出撃する。
 果たして地球は守られるのであろうか、ARIELの恐るべき性能とは?!

  
 
 「ARIEL」は全20巻+番外編2巻からなる超大作です。
 笹本祐一さんは宇宙ロケットの発射などに非常に詳しい作家さんで、レポートも出しています。
 このARIELは笹本さんの代表作とも言うべき超大作。なにしろ全20巻+番外編2巻もあります。
 星雲賞というすごく(?)偉いSF小説の賞もとっていらっしゃるんですよ!
 そんなARIELはいろんな部分で規格外、そして独創的です。
 
 
 まず主人公(?)三人組が操るロボットはなんと女性型。
 すらりとした体に美しい顔、そして長い銀髪(熱放射なんたららしいです)。
 そして地球最強の装備と電子兵器、非ノイマン型の第六世代コンピューターを内蔵しています。
 ちなみに女性型になったのは開発者の岸田博士の趣味。
 その顔は今は亡き彼の細君にそっくりという逸話つきです(笑)。
 加えて操縦者三人はまったくのド素人で、三人中二人は文系の高校生です。
 果たしてこいつらに地球の運命を任せていいのでしょうかね・・・。
 
 長編小説に要求されるのは細密な設定とキャラの個性です。
 主人公(それも怪しいが)三人はおろか、敵キャラの設定まで徹底しているのが笹本流です。
 敵勢力である宇宙人たちは侵略会社、すなわち利益追求を目的としているわけです。
 つまり侵略は「お仕事」。
 実際問題として一瞬で地球を灰に変えられる彼らがなぜ二十巻分も侵略に手こずっているのか?
 それは彼らの台所事情や対面が大きくかかわってくることになるのです。
 誰が想像できたでしょうか、侵略に来た宇宙人たちが赤字運営だなんて!!
 戦艦には艦長、参謀副官はもとよりなんと経理部長まで同乗しています。
 おかげで降下作戦するたびに艦長と経理部長との衝突は絶えません。
 『経理部長っ!経理部権限で出動停止とはどういうことだっ!!』
 『予算がないんですからしょうがないでしょうっ!降下兵は使わないでくださいっ!』 
 『それはそうとして哨戒態勢まで穴だらけというのはどういうことだっ!』 
 『燃料代もバカになりませんのよ。最小限で運営していただきますっ!!』
 こんな痴話喧嘩が毎回毎回宇宙空間では繰り広げられているわけです。
 さらに腕利きの艦長の噂を聞きつけ、同業他社や海賊達も喧嘩をふっかけてきます。
 あろうことか宇宙最強の剣士(非常識剣士)まであらわれます。
 彼らとの小競り合いを繰り返すうちにだんだんと戦力は削られ・・・。
 結局倒産(爆)、さらに地球人も宇宙へ上がってくるとこういうわけです。
 
 
 ARIELの最大のチェックポイント
 それは「人間味あふれるキャラクター達」、そして溢れる「非凡さ」です。
 敵サイドに人気が集中するというのは割とありふれた事象ではありましょう。
 しかし、あえて私は断言します。「これほどまでに愛しい敵役たちは存在しないっ!」
 さらに続けて言いましょう、「ここまでメチャクチャなSF小説も存在しないっ!」
 だってそうでしょう?
 最初は美形だった艦長がだんだんと可哀相キャラになっていき・・・、
 普通は露出してこないはずの経理部という存在が濃厚になっていく。
 そして非常識な設計者の作った非常識なロボットを非常識な乗組員が操縦する・・・。
 非常識な設定、非常識な演出、非常識な展開、非常識な登場人物たちです。
 ここで私が語る「非常識」とは決してマイナスの意味ではありません。
 この世にありふれた「○ンダム」とかのSF作品とは一線を画す「非常識」さです。
 (いえ、ガ○ダム好きですよ、ええ。あっ、殴らないで、蹴らないで 汗)
 
 
 
 作品コンセプトがロボットものだったはずなのに、どうもおかしい(笑)。
 確かに地球人が主人公だったはずなのに、だんだん宇宙人が露出しはじめてる(笑)。
 すでにこれはロボットものと言うべきではないのかもしれません。
 むしろスペースオペラの域に入りつつあります、というか宇宙人サイドはまさにソレ。
 特にすさまじいのは技術格差のありすぎる地球側と宇宙側で描写が異なって見えること、
 兵器好きも、SF好きも、両方満足できる作品なわけです。
 なにしろ「超光速」だの「慣性制御」だの理解不能なシステムがわらわら出てきた後、
 いきなりスクラムジェットやら三十五ミリバルカン砲やら・・・。
 よくもこれだけかけ離れたものを一つにまとめようと思ったものです。流石笹本さんです。
 
 しかしそれを上回って私がすばらしいと思うのは、再三申し上げるとおりキャラクターたちです。
 理解不能で非常識で、人間味あふれた彼らのドタバタ活劇、ぜひご覧ください。
 
 
 
 
 

 
 
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まげりん

うーん。まげりんはSF小説の初めがこれだったから、SFってこんなものだと思っておりましたw

ガンダムだってねー、放送時は非凡な作品だったのよーー。
それまで勧善懲悪、地球を守れ!悪を倒せ!だったのが、どっちにも言い分がある画期的なアニメだったのよー!
とファーストガンダム世代は語る語る。
by まげりん (2007-07-24 12:59) 

モルギフ

いやね、でもやっぱり闘うでしょ?
なんというか、結局最後は勝ち負けで決まるのが多いじゃないですか、
ARIELはもう最初から終わりまですべて予想外なわけですよ、
そういうわけですよ。
by モルギフ (2007-07-24 19:38) 

まげりん

ARIELだって戦うぞー!予算という敵と~
by まげりん (2007-07-24 22:51) 

モルギフ

予算と闘うのはゲドー社諸君では?
ARIELが闘うのはむしろマッドサイエンティスト相手・・・。
by モルギフ (2007-07-26 18:21) 

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