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今日からマのつく自由業! [小説紹介]

 幾度も、幾度も当ブログのテーマにしながら、
 気がつけば、コレを一度も専門でとりあげていませんでした。
 これはいかん!私の彼らへの愛が過小評価されてしまうのではないか!
 そういうわけで英断しました、やります(笑)。
 当研究室の三大看板のひとつ、「今日からマ王!」です。
 ちなみに残りのふたつは「彩雲国物語」と「デュープリズム」です(笑)。
 

今日からマのつく自由業! (角川ビーンズ文庫)

今日からマのつく自由業! (角川ビーンズ文庫)

  • 作者: 喬林 知
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 文庫


 
 
 
 ごく普通の野球少年、渋谷有利、
 運動神経は並みの上、頭の方は並みの下、性格は花丸付きの正義感、
 そんな彼はある日、中学時代の同級生が不良に絡まれているのを発見します。
 止めに入ったら同級生はすたこらと逃げだし、気づけば彼一人。
 不良達に頭をつかまれ、公衆便所につっこまれたら・・・。
 底があるはずなのに吸い込まれ、夢のスターツアーズへと出発です。
 目覚めるとそこは某ヨーロッパをモチーフにしたテーマパーク風の景色。
 わけのわからない言葉をしゃべる人たちに石を投げられ、ののしられます。
 そこへ登場した謎のアメフトマッチョに頭をわしづかみにされ、衝撃がおとずれると、
 言葉がわかるようになりました。
 なにやら事態を把握できないまま彼についていこうとすると、またもや別勢力が現れます。
 ウェラー卿コンラートとなのる彼は有利を助け出し、連れて帰ります。
 そこにいたのはウェラー卿とすみれ色の髪をもつ超絶美形フォンクライスト卿、
 彼ら曰く、ユーリはなんと「マ王」なのだそうです。第二十四代眞魔国国主、すなわち魔王です。
 『おめでとうございます、今日からあなたは魔王です!』
 そしてユーリの摩訶不思議な異世界での生活は始まるのでした。
 
 
 
 
 私は、かなり古い小説しか読みません。
 というか最近の小説事情についていけないというのが事実です。
 しかしコレを読んだとき、「まだまだヤルもんだ」とすら思いましたね。
 実際問題として、文章はさほど熟練されていないし、構成も未熟です。
 後で使おうと思って、適当に伏線ばらまきまくってるのバレバレなストーリーです。
 それでもなお、この小説、この世界には私を惹き付けてやまないものがあります。
 断言しましょう、確かに小説としてはB級もいいところだと。
 だが言いましょう、それでも私はこの本が大好きだと!
 
 世界観はほとんどにおいてドイツを踏襲しています。
 ファンタジーは往々にしてドイツをモチーフにされることが多いのです。
 例えば山口美由紀さんの「タッジー・マッジー」もそうですし、
 紫堂恭子さんの作品もそのようなフシがあります。(指輪物語っぽいですが)
 登場人物たちの名前のほとんどはドイツ語、もしくはギャグ。
 例えば「ユーリ」「コンラート」「アーダルベルト」など、メジャーですね。
 そして基本的に剣と魔法の世界です、当然ですが(笑)。
 

 この小説の面白い点、それはまずキャラが立っていること。
 キャラクターの個性が非常にはっきりしていて、それぞれ勝手に動き出しそうです。
 かなりの数の登場人物が衝突することなく、それぞれの個性を発揮しています。
 さらに地球世界の常識を無視しながらも、どこか似通っている世界の様子。
 例えば動物、猫は「めえめえ」鳴きますし、「にゃー」はゾモサゴリ竜という凶獣の鳴き声です。
 さらに人を食べる「ドクミミモモウサギ」などという生物も登場しますし、
 「ノギス」と鳴くクマハチという愛玩系動物もいます。
 私としてはやはり「エンギワルー」と鳴く眞魔国の保護動物、エンギワル鳥が棄てがたいです。
 また愉快な風習ももりだくさんです。
 あいさつをするときは鬘を外すカヴァルケード、ヒモパン着用の魔族の貴族など、
 左手で右頬を叩くのは求婚を申し込んだことになるのは、もうご存じですよね?
 食器を床に落とすのは決闘を申し込んだことになるそうです。いかにもありそうですね。
 

 先に述べた通り、小説としては二流になるでしょう。
 下調べも不十分だし、文章構成も未熟、ギャグも洗練されているとは言い難いです。
 しかし我々のツボをつく、おもわず考えさせられる、
 そして何より、私は彼らを大好きになってしまったのです。
 軽快な語り口と意味深なセリフの数々、
 ごく普通の平和を愛する高校生から見た異世界の冷酷な事情。
 剣と魔法の世界を生き抜くには、口先のきれい事では通用しません。
 しかし、普通の日本人の高校生のユーリはそれらを決して、肯定できないのです。
 自分が治める世界の内情、外情、それはひいては戦争など現代の問題につながります。
 同じ高校生の彼が決して信念を曲げず、物事に接していく姿、
 そしてそれを支える臣下達の熱意に、嫌でも飲み込まれざるをえません。
 
 
 
 ちなみに、現在新刊がまったく出る様子がありません。
 そしておそらくもう出ないでしょう(ため息)。
 まったくもって、作者に文句を言いたい気分ですが・・・(笑)。
 それでも私は彼らが大好きなのです、これからも、ずっとそうでしょう。
 
 
 
 
 
 
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コメント 7

愛輝

やっと登場してくれましたね。
私もまるマは一生涯忘れないと思います。
印象的な構成と世界観、テンポ。
賞を取るとか、作家の手本といった大それたものではないけれど、
魅力は十分にありますよねー♪

しかし・・・ここまでキャラクターが壊れまくっている小説も珍しいですよねー。
by 愛輝 (2007-07-31 22:47) 

ym-eagle

nice&コメントありがとうございます!!
バトンはどうぞもらっちゃってくださぃ♪♪
 ぁと、私もまるマ大好きですw ほんと、新刊が出る気配が全くなくてショックです…。それでも、やっぱり嫌いにはなれないんですケド(笑)
 今度、モルギフ様とゆっくり語ってみたいです☆★
 
by ym-eagle (2007-07-31 23:15) 

マ王は少しアニメで見ていましたね。
OPとEDの曲がどちらも良かったのが印象的です。
by (2007-08-01 02:00) 

まげりん

まげりんはアニシナさんの様に生きたいといつも思っております。
by まげりん (2007-08-01 17:05) 

モルギフ

>愛輝さん
満を持しての登場です、やっぱりコレやらないと、ね(笑)。
そうですね、「魅力」がある小説なんですよね、まるマは。
う~ん、キャラクターですか、確かに壊れてる。
ただARIELも相当壊れてたので、どっこいどっこい、かな。

>ym-eagleさん
新刊、出る気配がありませんよね。
番外編とか雑誌で書いてるのが問題なのだとは思いますが。
どうやら同人誌上がりの作家さんなので、
そこら辺プロ意識に欠けるようです。
ええ、機会があればぜひ、語りましょう。バトン、ありがたく頂戴します。

>三天寺さん
確かにOPとEDの曲、良いですよね!
アレを歌ってるグループは、インディーズで相当過激な歌を作ってるので、
ああいう歌も歌えるんだと、意外でした。

>まげりん
毒女候補生・・・?
私はグウェンの様に行きたい、やさしさ百%。
by モルギフ (2007-08-02 00:05) 

Grani

はじめまして。今日からマのつく自由業!のことをいろいろ検索してたどり着きました。
新刊が出ないことを嘆いておられましたけど、来る12月1日最新刊砂はマのつく途の先!発売とのことですよ。
by Grani (2007-11-01 23:29) 

モルギフ

>Graniさん
こちらこそはじめまして。
新刊についてですが、先日私の処にも白鳩便が届きました。
よくここまで待たせてくれたというか(笑)。
来月が楽しみでなりませんね。
by モルギフ (2007-11-02 22:33) 

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